「どうするんですかこれ」 「どうしようもないんだよこれ」 警官が二人、蛍光灯の下で頭を抱えて書類を付き合わせる。「これをインサイダーで起訴しろっていうんですか」 「分からん。お偉いさん方も派閥まで出しゃばってきて大騒ぎらしい」 書類には容疑内…
警察官という身分にありながら、背徳的な欲望を抱えた男がある遊郭を訪れた。 絶大な権力を裏に纏い国家権力からも匿われ、身分を隠して少女とまぐわえる桃源郷があるのだとか。 果たして男の願いは叶い、あっという間に精根尽き果て、支払いをする段になっ…
scp ウイルス ミーム 情報災害 収容不可 アイテム番号: SCP-XXXX オブジェクトクラス: Euclid Safe 特別収容プロトコル: SCP-XXXX及びその変異体は複数の人間が死亡したいかなる地点にも発生する可能性があります。市街地でのSCP-XXXXの発生または拡大が確…
「あら、変ね。こんな大きさだったかしら……?」 リビングのテーブルで咲く小さな赤いバラが少し成長したのを見て、ある母親は不思議に思いました。だってそのバラは、造花だからです。 家に何か彩りが欲しくて観葉植物を買おうと思ったはいいものの、場所を…
「目ェ、目ェ、足リ無いのォ、右ィ、左ィ、どッチが良ィいイイ……」 私がこれから訪れる町には、隻眼の妖怪が出るという。 組織が事前に噂を調べた限りでは、ターゲットは口裂け女の変種。この辺りの夜道に現れ、出会ったらきちんと対応しないと目をどちらか…
この世ならざる者は、いつだって私達のすぐ側にいるのです。 朝、私は目を覚まします。絶対に寝返らないために手首と足首につけた金具を外し、手術台から起き上がるようにして朝日を浴びます。部屋の正面の壁はガラス張りで、そのまま外に繋がっています。覗…
町中に響くその鳴き声は美しい。しかし本当に美しいのは、透き通った青白い羽根である。人前には滅多と姿を表さないが、もし見つけたら何か幸運でもあるという。綺麗な鳥の鳴き声だけが聞こえる、どこかの町でのことでした。 ある小学校において、奇妙なこと…
私たちは確かに、この赤い線と共に暮らしてきました。 それは赤い糸のようなものでした。赤い平面が無秩序に空中に現れ、クルクルと回転して、突然神様か何かに端っこを引っ張られたかのようにキュッと糸のようになり、程なくして見えなくなる。それだけがこ…